大分地方裁判所 昭和58年(わ)681号 判決 1984年3月13日
本店所在地
大分市豊海五丁目四番五号
坂ノ市木工有限会社
右代表者代表取締役
三重野芳光
本籍
大分市大字東上野三一〇四番地
住居
同市大字西明野二〇六番地
会社役員
三重野吉直
大正一一年八月一六日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官谷垣竹夫出席のうえ、審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人坂ノ市木工有限会社を罰金六〇〇万円に、被告人三重野吉直を懲役六月に処する。
被告人三重野吉直に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人坂ノ市木工有限会社(以下、被告法人という)は、大分市豊海五丁目四番五号に本店を置き建具の製造販売業などを営むもの、被告人三重野吉直は、被告法人の会長としてその業務を統括しているものであるが、被告人三重野吉直は、被告法人の業務に関し 法人税を免れようと企て、原材料の仕入れに当たり取引先と通謀して翌期の仕入れとなるものを当期の仕入れとして繰り上げて計上し、売上げを除外し、棚卸しを除外して過少に計上し、売上除外により得た資金を簿外の定期預金等に預け入れるなどの不正手段により所得の一部を秘匿した上、昭和五五年四月一日から昭和五六年三月三一日までの事業年度において、被告法人の所得金額が六、一二九万四、九八五円でこれに対する法人税額が二、二六四万七、九〇〇円であるにもかかわらず、昭和五六年五月二九日、同市中島西一丁目一番三二号所在の所轄大分税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八五八万九、七四八円でこれに対する法人税額が一七三万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の方法により、被告法人の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額二、〇九一万三、八〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一、被告人三重野吉直の当公判廷における供述
一、被告人三重野吉直の検察官に対する各供述調書並びに大蔵事務官に対する各質問てん末書及び申述書
一、三重野芳光の検察官に対する各供述調書並びに大蔵事務官に対する各質問てん末書及び各申述書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、各査察官調査事績書
一、押収してある法人税決議書一冊(昭和五九年押第一七号の1)
一、検察事務官作成の電話聴取書
一、登記官和田臣司認証の登記簿謄本
(法令の適用)
一 判示所為
被告人坂ノ市木工有限会社 法人税法一六四条一項、一五九条
被告人三重野吉直 同法一五九条(懲役刑選択)
一 執行猶予 刑法二五条一項
(被告人三重野吉直)
一 訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 陶山博生)